内緒で付き合ってます

◎３２ ページ32

今日は拓也くん地方ロケに行っているから
家に帰っても誰もいない。


「……」



リビングに置いてあるデカもんのナギくんを
思いっきり抱き締めた。
推しは壮ちゃんと悠だけど
拓也くんがいなくて寂しいときは
いっつもナギくんを抱き締めている。


…拓也くんは知らないと思うけど。




「拓也くん…」




世間の声は予想通り厳しかった。
いや、予想以上に厳しかったのが正しいかもしれない。

なっちゃんには絶対SNS見ないでって言われているけど
空き時間に少しだけ見てしまった。

”不倫”
今回の炎上の原因はこれに尽きる。
独身同士の恋愛なら多少許されるかもしれない。
でも私は妻子持ちの男性と撮られてしまった。




「不倫なんてしないのに、」




私には誰よりもかっこよくて、ずっと味方でいてくれて
ずっと私を好きでいてくれる彼氏がいる。
江口拓也しか好きじゃないのに。



「もうやだなぁ…」







．






「おはようございます」




スタッフ「……」





…あからさまに無視されてる私？





向井「Aちゃんおはよぉ！待ってたで！」





「康二…」






向井「こっち来てやぁ！まだ誰も来てへんねん
久しぶりにAちゃんを独り占めできるわ〜」





「康二、ありがとう」





向井「…あからさますぎるねん。
Aちゃんが不倫するわけないやん。
ほんまムカつくわ。」




私にしか聞こえないくらい小さい声で言ってくれた。





「私の自己管理不足だよ…」





向井「そんなことあらへん。
何でみんなあの記事を信じるんかな、
有り得へんわほんまに。」





「康二…っ(泣)」





向井「ちょ、泣かんといてや〜(汗)」





ラウ「おはよーございます！あ！
康二くんがAちゃん泣かせてる！」





「ラウちゃん〜(泣)」






向井「ラウール！？ちょ、Aちゃんも
行かんといてや〜！！！」






康二とラウちゃんのお陰で少しだけ、だけど
元気になった。ほんとに2人とも、





「…ありがとう」







．

◎３３→←◎３１

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す