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ジャケットを着て、気合を入れて車の扉を開けると冷たい空気がぶわっと吹いた。磯の香りがふんわりと漂う。眼下には乱反射する海が見えた。
『綺麗だね』
向「ほんまやね。ええ写真撮れそうですわ」
『あら、それは頼りになるね』
向「もう任せといてくださいよ」
スニーカーで砂浜を踏み荒らす。サクサクと砂を踏む感覚が不思議だった。気分で海水に手を伸ばす。
『冷たーい!』
向「そらそやろ。ほら、1枚撮れたで」
『え、見たい見たい。…おお!良いね』
向「ふふっ、せやろ」
段々と暗くなっていく夜空を見上げていた。冬の大三角とオリオン座が綺麗に見えた。じっと見ていると、流星が1本の軌跡を残していった。
『あ、流れ星!』
『…どこで夢の続きを見ていても変わらない景色があってあの日あの場所で巡り逢えたこと永遠だから』
『数え切れない夜空の彼方で流星の軌道を辿って二人そよ風に願いを込めた』
『愛すべき未来まで届け』
パシャ
『…良い写真撮れた?』
向「はい、とっても」
彼が満足いくまで写真を撮ったら、再び車に乗り込む。外気が遮断されるが、冷えきった体はすぐには温まらない。
向「あ、最後1枚だけ」
そう言って彼は助手席に乗り込む。
向「ハンドル持って、目線だけこっちにください」
パシャ
向「んふ。めっちゃ綺麗ですよ」
『それは写真が?それとも私?』
向「勿論どっちもです」
そんな冗談を言い合って、彼を後部座席に乗せて、東京へ北上する。空は真っ暗だけれど道はどこまで行っても光に照らされている。
向「そういえば、やっぱり小晴さん、歌上手いな」
『やだ恥ずかしいな。本家には敵いませんよ』
向「あははっ」
『でも皆の歌をいつも聴いてるから、耳は肥えてるんだ』
向「今度カラオケでも行きます?」
『そうなったら私はずっと聴き役だな』
彼のマンションに着いて、車を停める。
『今日はありがとう』
向「いえいえ!俺が呼んだんで!ありがとうございました」
『写真、またデータ送ってね』
向「勿論です。良かったらまた撮らせてください」
『うん!いつでも呼んで。じゃあまたね』
向「はい、また」
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参考
神奈川県 一色海水浴場
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作者名:不明 | 作成日時:2024年1月13日 23時