ステージ14 ページ34
side鴇
白いワイドパンツに、白のとろみのあるワイシャツ。上から黒のオーガンジー素材のワンピースを着る。白のショートダウン、スニーカー、ネックレスなど、全体を白でまとめて、ヘアアクセサリーだけ金のバレッタにする。メイクは強く、黒のアイラインに黒みのある赤リップをのせる。
私がラウールくんを呼んだのは、良いときに来るお寿司屋さん。昔、京本のお父様に1度連れてきてもらって大将のご贔屓にしていただいた。
暖簾をくぐって店内に入ると、相変わらず優しい顔をした大将がいた。お久しぶりです、と言うと笑顔で特等席のカウンターに案内される。と思うと後を追っていたかのようにラウールくんが入ってきた。
ラ「すみません。待たせましたか？」
『ううん。ほんとに今席に着いたところ』
彼も大将に挨拶をして、私の隣に座る。彼の長い脚が余っていて、少し椅子が低いように見える。
『大将、今日のお勧めは？』
大将「今日は鰊とやりいかが良いの入ってるよ」
『美味しそう！じゃあ私両方お願いします。ラウールくんは？』
ラ「僕も両方と…鮪も」
大「鰊2やりいか2鮪1ね」
大将は3枚に下ろした鰊を持ってきて切り落とす。ツヤツヤと美しく光っていて、見ているだけでごくりと喉が鳴る。瞬く間に握られた寿司が目の前に置かれる。
『戴きます』
ラ「戴きます」
『…ん！美味しいー！』
ラ「めっちゃ美味しい！」
大「はは、それは良かった」
私たちが食べている間に、気付くとやりいかの寿司が出てきていた。大将は息をするかのように寿司を握る。
やりいかはまだ身の透明度が高く、新鮮なのが見てとれる。口に運ぶとこれまた美味しい。
『これも美味しいー。大将、次銀鮭が良いです』
大「銀鮭ね、入ってるよ」
ラ「え！美味しそう。僕もいいですか？」
大「勿論。ちょっと待っててね」
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作者名：不明 | 作成日時：2024年1月13日 23時
