Shall we Dance? (ページ35)

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『そういえば、パリのお話まだ聞いてないや。どんな感じだったの？』
ラ「いやもうめっちゃ楽しかったですよ。色んな人に会えましたし」
『それは良かった。見ててもすっごく楽しそうだったよ』
ラ「あははっ」
『それにしても、ラウールくんって何着ても様になるね。スタイルの良さを実感する』
ラ「ありがとうございます。でもやっぱり、服を選んでくれたのはコーディネーターさんたちなので、似合う服を選んでもらったんですよ」
『コーディネーターさんたちって凄いよね。私だったらちょっと扱いにくそうって敬遠しちゃう洋服をさ、かっこよくスタイリングしちゃうもんね』
ラ「ほんとにそれは思います」

こうして話している間にも大将は他のお客さんへお寿司を握っていた。店内に人は少なくない。けれどもこの店で長いこと注文を待たされることはない。これも大将の腕だろう。
ラウールくんとの話は仕事の話が多くて、ファッションが好きだから、彼のモデル活動の話を聞くのはすごく楽しい。

『でも、ラウールくんが遠くに行っちゃうみたいでちょっと寂しかったな』
ラ「遠くに行きませんよ。一生Snow Manなんで」
『あははっ、それは安心』
ラ「鴇さんのほうがどっかに行っちゃいそうです。振付師辞めないでくださいね？」
『辞めないよー。多分、ダンサーは辞めても振付師は辞めないから』
ラ「え、ダンサーのほうがメインだと思ってました。この前、ブレイキンの大会で優勝されてましたよね？」
『あら、知ってくれてるの？ありがとう。でもね、ブレイキンもそろそろ限界を感じてきてて』
ラ「え？どういうことですか？」
大「え、鴇ちゃんダンサー辞めちゃうの？」
『あら？大将まで』

私には、ブレイキンで生涯を終えられるような才能はなかった。もう30になるし、体力の衰えも感じている。逆に、ダンスの幅は広がってきていて、ブレイクダンス以外の…ヴォーグやバレエも勉強している。それは振付師として生かすべきだと思うし、そのためにしている。

『選手としての寿命が近づいてる気がしてて』
ラ「そんなことないと思います。今だってSnow Manの振付完璧じゃないですか。この前のTGCも監督してもらいましたし」
『私、支える方が向いてるのかもね』
ラ「僕はまだ鴇さんのダンス見たいです。鴇さんにダンサー続けてほしい」

ラウールくんの眉尻が下がる。そんな不安な顔してほしくなかったんだけどな。私は今まで以上にSnow Manに捧げたいって思ってただけなんだけど。