ステージ15 ページ37
side鴇
夜、その日のLINEを確認していて目を疑った。「3月14日の夜、会えない？」と、大介から。約5年ぶりに私たちのトークルームが動いたタイミングだった。
なんとなく断ってはいけないような気がして、14日の午後に入っていたダンスの仕事を午前に移動してもらった。
3月14日18時。
スモーキーピンクの首元の詰まったドレスを身に纏う。足首近くまでしっかりと隠れてまだまだ寒い春の夜には丁度いい。白いボレロを羽織って、サテンのクラッチバッグを引っ張り出す。メイクは目元に力を入れる。アイラインは下に長く、瞼と涙袋にはJILLSTUARTのラメを輝かせる。髪を後ろで小さなお団子に纏めて、パールのネックレスとピンクパールのピアスを付ける。
マンションの外へ出ると、呼んでおいたタクシーがタイミング良く到着した。目的地を伝えて外を眺める。結局、何の為に呼ばれたのか理由も聞けないまま今日まで来てしまった。
呼ばれたビルに着く。ヒールを鳴らして中に入ると、彼は既にホワイエで私のことを待っていた。
『大介』
佐「小晴」
『ごめん、待った？』
佐「全然、まだ時間の5分前だし」
いつもアニメのTシャツやパーカーばかり着ている彼も、今日はスマートカジュアルな服装をしていた。髪は後ろで1つに括っている。前と変わらず、彼の好きなDiorの香りがする。
佐「じゃあ、行こっか」
『うん』
彼に着いていって、エレベーターに乗り込む。目的の階に着くと、そこはワンフロア全てが1つのレストランだった。彼はウェイトレスに予約を伝えて、私たちは1番奥の窓側の席に案内された。
席に着くと大介の顔が正面に見える。身長も同じくらいなので、彼の大きな瞳から逃げられない。
『それで、今日はどうしたの？』
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作者名：不明 | 作成日時：2024年1月13日 23時
