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佐「俺も、誘ったとき手が震えまくってたんだよね」
佐「でもさ、小晴はそんなに変わってなくてちょっと安心したよ」
『そりゃ、仕事で会ってたし』
佐「でも、香水も、好きな味も俺の知ってる小晴のままだった」
『…じゃあ大介は、私の知らない大介かもね。衣装以外でそんな格好してるの初めて見たよ』
佐「…」
小晴はそう言って自身のスカートに目線を落とす。康二の写真で見たときとは違う、エレガントな服装だ。俺が昔会っていたときと似た、柔らかい服装。
デザートと珈琲の皿とカップが白くなって、少しした頃ディジェスティフが提供された。赤いポートワインが揺れる。
佐「今日、呼んだ理由なんだけど…これ」
そう言って俺はティファニーブルーの横長い箱を小晴の前に置く。箱をゆっくりと開けてやると、きらりと小晴の目が輝いたように見えた。
『Tiffanyだ…』
佐「ホワイトデーだから。バレンタインのお返し」
『も、貰えないよ!こんな高価なもの…』
佐「貰って」
『倍で返してとは言ったけど、これじゃ倍以上じゃない』
佐「じゃあ、今までのお礼も含めてってことで」
『でも…』
箱からブレスレットを取り出す。小晴の左手をとって、手首にブレスレットをつけてやる。見立て通り、細い手首にダイヤモンドがよく映える。
『綺麗…』
佐「でしょ?やっぱり俺、見る目あるわ」
佐「そのブレスレットは小晴がつけないと」
『…ありがとう。大介』
佐「どういたしまして」
柔らかく小晴が微笑む。それは確実に本心の笑顔だった。やっぱり俺は小晴のことが大好きで、彼女とずっと一緒にいたいんだと思った。
『ダイヤモンド…だよね?もしかして、私の誕生石だから?』
佐「あー、うん、そうだよ。まあ1番は小晴に似合いそうだから、っていうのが大きいんだけど」
『そっか。んふふ、ありがとう』
小晴が目を細めて笑う。こんなに好きなのに、本当のことが言えない。誕生石なんて理由の1割にも満たない。ねえ、知ってる?小晴。ダイヤモンドの石言葉は「純愛」と「永遠の絆」なんだよ。
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参考
https://www.tiffany.co.jp/jewelry/bracelets/tiffany-t-smile-bracelet-GRP10598/
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作者名:不明 | 作成日時:2024年1月13日 23時