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岩「精神的疲労じゃなくて、肉体的疲労だとしたらどんな振りとか演出にしたい?」
『そうだなあ。サーカスみたいにさ、吊り輪吊るして跳んでみるとかは?』
『あと腹筋太鼓もう1回やるとか』
岩「ふはっ、小晴腹筋太鼓好きだよね」
『あれ楽しいんだよ。次の日笑えなくなるけど』
滝沢歌舞伎のときは、よく皆の稽古を見ていた。ダンスの参考にしたり、逆にされたりするのも勿論だけど、私がスポーツ学を勉強していたのも理由の1つだ。私は大学で運動生理学の観点からスポーツ学やスポーツ医学を研究していた。そのために、しばしば怪我をしない動き方のレクチャーや、軽い怪我をしてしまった際の応急処置の役割を任されていた。
稽古の休憩時間には、興味本位で私も腹筋太鼓を何度か経験した。演奏するのに支障がない程度には叩けたが、次の日は腹筋が筋肉痛で、笑うとお腹が痛くなってしまった。
自分のリングノートを取り出す。中には今までやってきた、若しくはやりたかった振付や演出が沢山メモに残されている。ブレイキンで見たアクロバット、女性アイドルの振付、舞台の演出など様々なことがランダムにノートに散らばっている。
岩「来た!小晴の参考書!」
『えー?何それ。そんな名前付けられてたの?』
岩「俺それ好きなんだよね。小晴のことが分かるっていうか。小晴を感じる」
『感じる???あははっ、どういうこと?』
岩「小晴がジャンル問わず色んな作品とかダンスを見てるのが分かるし、そこで何を良いと思ったのかどういう感性でものを見てるのかがよく分かる気がするから」
『確かに、思いのままに書いてるからね』
ノートを捲る。ひーくんの隣に座って一緒に紙面に目線を落とす。2人で会議するときはいつも、最初は向かいに座っているのに、最後には隣に座って話し込んでいる。
岩「これは?」
『あーそれは…』
『これをこうしたら舞台にも使えそう』
岩「あそれ面白いかも」
話し込んでいるといつの間にかホワイトボードが真っ黒で、ノートも新しく数ページが埋まっていた。時計を見ると、集合した時間から4時間程度経っている。
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作者名:不明 | 作成日時:2024年1月13日 23時