Shall we Dance? (ページ8)

今日:50 hit、昨日:68 hit、合計:30,060 hit

ステージ3 ページ8

side鴇

ピロン、とスマホの着信が鳴る。良かったら今からご飯行かない？と阿部ちゃんからのLINE。二つ返事で了承して、取り敢えず着替える。
クローゼットを開けると色とりどりの服、部屋に物は少ないが洋服だけは減らしたくなかった。メンバー誰か1人に会うときはその人のメンバーカラーをどこかに差し込んでいきたい。だから私のクローゼットには9色が並んでいる。
いつものところに行くと予想してグリーンのシアーシャツと、インナーに白のキャミソール、ボトムスに白のワイドパンツを合わせる。
阿部ちゃんは濃いメイクは好きじゃないから、オレンジブラウン系でまとめる。そうしていたら、また連絡が来た。来客者用駐車場に停めてるね、と。鞄に最低限のものだけを入れて家を出る。向かうと車の中からあざとく手を振ってくれた。そのまま後部座席に乗り込む。

『阿部ちゃん、お迎えありがとう』
阿「んー、全然大丈夫だよ。こっちこそ急に呼んだのに来てくれてありがと」
『そりゃ阿部ちゃんが呼んでくれたら仕事じゃない限りは来ますよー。で、いつものとこ？』
阿「うん。久しぶりに時間できたから、小晴ちゃんと喋りたくて」
『わー、嬉しっ』

いつもの居酒屋に着く。顔パスで個室に通される。車から暗い照明の通路を通って明るい個室に着くと、阿部ちゃんの顔が良く見えた。

『あ、そのトップス初めて見る。可愛い』
阿「え、よく気付いたね！？これ今日初めて着てる」
『阿部ちゃんファンなんでー』
阿「あはは、はいはい。でも本当によく見てるわ。ビールでいいよね？」
『うん』

生ビールと黒烏龍茶と、それぞれ好きなものを頼んで駄弁る。2人で食事をするときは際限なくずっと他愛もない話をする。

阿「小晴ちゃんさ、」
『うん？』
阿「佐久間といつ仲直りするの？」
『…え？』

確かに、私は旧メンバーの6人のうち、阿部ちゃん以外の5人とぎこちない時期があった。それは新たに3人が加入したとき。それまでは後輩に厳しく接していた皆が変わってしまったから。特にしょっぴーと大介とは溝を深く感じた。